Ba5CaFe4O12+δ

 

 Ba5CaFe4O12+δ (BCFO):本物質は一般式ABO3のペロブスカイト型構造をもとにしていますが、通常のものとは少し異なり、Bの位置にカルシウム1個と鉄4個が5倍周期でくり返される特別な構造をもっています(図1左)。普通のペロブスカイト酸化物では、B位置の金属原子のまわりを6個の酸素が取り囲んでいます。しかしこの材料では、鉄のまわりには酸素が4個しかなく、結晶中に空きスペース(原子欠損)があります。そのため、この材料は追加の酸素を取り込むことができ、可逆に酸素を出し入れする反応を示します。 

図1. Ba5CaFe4O12(左)と単純ペロブスカイトSrTiO3(右)の結晶構造.

私たちは、BCFOが室温から400 °Cまでの温度範囲で、酸素の出入りによって大きな重量変化を示す「酸素貯蔵材料」であることを発見しました(図2)。さらに詳しく調べたところ、この酸化物では、従来の材料よりも低い温度(約370 °C)でもすばやく酸素を出し入れできることが明らかになりました。この性質は大気中に約21%存在する酸素だけを取り出す酸素分離技術に利用できます。BCFOは小さな熱エネルギーでも動作でき、また地球上に豊富に存在する元素だけでできていることから、低コストかつ高性能な酸素貯蔵材料として有望な実用材料の候補といえます。

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図2. 空気中でのBa5CaFe4O12+δの熱重量変化.