4年生(K.F.):植物ホルモン「オーキシン」を中心に、植物の根や葉の仕組みを探究しています。3年生の後期から本格的な実験に取り組み、4年生では1年間を通して卒業研究に集中します。学生の声に耳を傾ける気さくな先生のもと、アットホームな雰囲気の中で、のびのびと研究に励むことができます!
植物遺伝育種学研究室・植物生理学研究室
植物遺伝育種学研究室
植物の品種改良に基礎から貢献!(朝倉)
私たちはさまざまな植物を利用し、日々、生活を送っています。ほぼ毎日口にするようなお米、つまりイネや、パンや麺類の材料となるコムギといった主要穀物も大切ですし、お茶やコーヒーといった嗜好品として利用される植物や生活に潤いを与えるような観賞用の花も大切です。スーパーマーケットではイロトリドリの野菜や果物を目にすることができます。私たちの生活を支え、彩りを与える植物の多くは、農耕が始まって以来、品種改良により生み出されてきたものです。品種改良は、現在でも活発に行われています。
どんなおコメが好きですか?どんな品種名を聞いたことがありますか?そんな品種改良を楽しみながら勉強し、その基礎となる研究を日々、行っています。
その1 日本酒醸造用のお米のはなし
にじのきらめきは新潟県で育成された食用米です。一方、出羽燦々は山形県で育成された日本酒用のお米、酒米です。出羽燦々はにじのきらめきと比べると、少し大きくて、内部が白く濁っています。実はこれがお酒造りに適しているという特徴なのですが、どうしてそのような特徴を酒米は持っているのでしょうか。どのような遺伝子が酒米の酒米らしさを決めているのでしょうか。それがわかると、今後、品種改良がしやすくなると思います。そこで、私たちは酒米の良い特徴に関係する遺伝子を探そうと研究に取り組んでいます。

A:にじのきらめき(食用米)、B:出羽燦々(酒米)
バーは1 cmを示す。
その2 シーベリーという果物とは!
耳慣れないでしょうか。下図のシーベリーという果物は栄養豊富で注目されているのですが、日本では現在、北海道でしか栽培されていません。この植物は少し変わっていて、雌花だけをつける雌株と、雄花だけをつける雄株があります。この果物の品種改良を進めるためにDNAレベルの研究を行っています。雄と雌を識別するためのDNAがその一つです。花が咲くまで雌雄がわからないのではなく、発芽してすぐに雌雄の識別をしようということです。これによって交配がスムーズに行えるようになり、品種改良が進みやすくなります。

A:シーベリーの果実、B:シーベリーの雌花、C:シーベリーの雄花
生物をおもしろく感じる教材を!(朝倉)
その1 植物体組織の一部から植物体全体を再生させるには!
植物は動物と比べると、一般的に高い再生能力を持っています。下の写真はファストプランツと名付けられた、成長が速く、花が早く咲くという教材によく使われる植物ですが、子葉の切れ端(組織片)から新しい芽が再生している様子です。この再生には植物ホルモンが深く関わっています。高校生のみなさんにも、この再生の様子や植物ホルモンのはたらきを、ぜひ実際に観ていただきたいと思っています。そこには植物の生命力があります。皆さんの手で植物を再生させて欲しい、それを観察して欲しいと思っています。そんな気持ちで、生徒さん向けの教材開発に一生懸命、取り組んでいます。

バーは1 cmを示す。
その2 いろんな植物や動物のDNAを調べちゃうはなし
もしかすると、一般にはDNAの話って難しいだとか、DNAを調べるって簡単ではないって思われているかもしれません。そんなことはありません。実は、少しの機械と試薬さえあれば、DNA実験はそんなに難しいものではありません。高校生の皆さんに、DNA実験の体験を通して、DNAのこと、さらには生き物のことに興味を持ってもらえたらと、生徒さん向けのDNA実験の開発を行っています。例えば、遺伝子組換えカーネーションや遺伝子組換えバラはすでに販売されていて、皆さん買って飾ったりすることができます。これらの遺伝子組換えには、パンジーやペチュニアの遺伝子が使われていますが、その組込まれた遺伝子を簡便に検出する実験、あるいはメダカやドジョウなどを飼っている水槽の水から、これら魚たちのDNAを検出する実験などもできるようになっています。一緒にこのような実験の開発を行ってみませんか。

F: New cultivar-2 遺伝子組換えバラ G: Applause, H: 1.5 mLチューブとすりつぶし用のペッスル

食虫植物の進化を考える(荒井)
皆さんは食虫植物というとどのような植物をイメージするでしょうか?最近は巷の花屋さんでもみられるようになってきましたが、まだまだマイナーな植物かもしれません。食虫植物は、植物であるにも関わらず、虫を捕えて消化・吸収する驚くべき能力をもった植物です。虫を捕まえると、私たちの胃と同じように、葉から分泌された消化酵素によって獲物を分解します。栄養が乏しい環境に生育しているため、リンや窒素などの足りない栄養を虫から補っているのです。
私たちの研究室では、“消化酵素”に着目し、その起源と進化について研究を行なっています。これまでの研究により、食虫植物は通常の植物が病原菌の感染や傷害を受けた際に用いるタンパク質を上手く利用していることが明らかになりました。さらに、これらのタンパク質は通常の植物が根から分泌するタンパク質と非常によく似ていることを発見し、“食虫植物は根の機構を転用して食虫機構を獲得した”という仮説を提唱し、現在実験を行なっています。また、最近では捕虫葉(食虫植物の捕虫・消化器官)の形態に着目した研究や食虫植物を材料とした機能性食品の開発にも取り組んでいます。

植物生理学研究室
ようこそ、中川研へ!
研究テーマのお話の前に、研究室メンバーから一言いただきました!4年生は卒研真っ只中。3年生は研究室配属が決まったばかりで、卒論テーマをこれから決めていく時期です。私たちは、「毎日楽しく実験する」をモットーに研究しています!


4年生(H.N.):最近「僕のヒーローアカデミア」というアニメを見てます。サー・ナイトアイさんが好きです。かっこいいですよね。なのにあんな展開になってしまって驚きました。中川先生は元気とユーモアがあって、最高の先生です。最高だからこんな紹介文でも許されちゃいます。

3年生(M.S.):最初は植物に興味がありませんでしたが、中川先生の講義を通じてその魅力に気づきました。具体的な研究テーマはまだ決まっていませんが、自分なりに試行錯誤しながら、新たな発見を目指して、全力で取り組んでいきたいです。

3年生(Y.S.):私は、オーキシンなどの植物ホルモンについて研究し、植物の成長をコントロールできるようにすることで、持続可能な農業や気候変動にも左右されない農業を実現させたいと思い、この研究室を選びました。研究室では、その理想のためにも精一杯研究活動に励みたいと思います!

3年生(S.I.):私が中川研を選んだ理由は、私は祖父の影響もあり幼い頃から植物にとても興味がありました。そして1年次に履修した体験型研修の食育わくわく体験で初めて中川先生にお会いしました。その時に、改めて食育や植物の面白さを実感しました。また、中川先生の人柄も惹かれた理由の一つです。研究は毎日の記録と積み重ねによって結果が出てくるものです。特に、植物は日々変化していくものなので少しの変化も見逃さないように毎日コツコツ努力していきたいと思います。

3年生(K.H.):私は中川教授と行ったみかんの収穫のお手伝いや親戚の畑のお手伝いで植物に興味を持ち、野菜の研究に携わりたいと考え、この研究室を選びました。

3年生(M.F.):幼い頃から父が家で様々な野菜や果物を育てている影響で植物に興味があったため、中川研究室を選びました。まだ具体的に自分がこの先どの様なことを研究するのか想像出来ていませんが、沢山のことを積極的に学んでいきたいと思っています。
植物の成長をコントロールする物質を開発中!
私たちの研究室では、オーキシンに着目して研究を進めています。オーキシンは植物のさまざまな成長過程ではたらいている大変重要な植物ホルモンです。天然オーキシンの構造を主体にさまざまな類縁体を岡本研究室と共同で開発し、各種植物に処理することでどのような影響がおきるのかを調査しています。また同時に、生体内の遺伝子の発現変動なども調べています。
アボカドの研究、始めます!
私(中川)はアボカドが大好きです。ずっと前からアボカドに関する研究がしたいと思っていましたが、ついに今年度から本格的に取り組むことにしました。みなさんがスーパーなどで購入できるアボカドは、ほとんどが輸入品です。それでも十分美味しいですが、日本でもアボカドが栽培されているのを知っていますか?熱帯果樹であるアボカドは、国内で耕作放棄地や休耕地を活用し栽培が広がってきています(2019年11月30日、2021年1月16日、どちらも日本経済新聞)。また、気候変動などの影響で、今後日本でのアボカド栽培適地が最大で今の7.7倍に広がると予想されています(2025年4月13日、日本経済新聞)。
今後日本で栽培地が増えることを予想して、アボカド栽培のさまざまな課題解決のために、私たちは研究で貢献したいと考えています。そのために栽培現場を知ることは大切なことです。現在、神奈川県小田原市のアボカド農家さんと協力しながら(ときどき農園におじゃまして)研究を進めています。
